監修:大阪大学大学院医学系研究科
腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生
一般的には血清カリウム値が5.1mmol/L(=5.1mEq/L)を超えた場合に、高カリウム血症であると診断されます。
高カリウム血症との鑑別が必要なものに偽性高カリウム血症がありますが、偽性高カリウム血症では心電図は正常となります。一方、高カリウム血症は進行に伴って心電図に変化が生じることがあるため(図1)、
鑑別診断や病態の重症度把握のために心電図モニターも有用とされています6)。

高カリウム血症の診断に必要な検査の回数は?6)
高カリウム血症の診断のために、カリウム値の上昇を何回確認すればよいかというコンセンサスは今のところ得られていません。腎臓病診療ガイドラインの国際機関KDIGO(Kidney Disease; Improving Global Outcome)や英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence: NICE)の定めるガイドラインでは、高カリウム血症のリスクがあるCKD患者ではRAAS阻害薬投与に際して、投与前、投与後、増量後の血清カリウム値測定を推奨しています。また、RAAS阻害薬投与の有無とは関係なく、最近の無作為化比較試験(RCT)では高カリウム血症の特定のために少なくとも2回の血清カリウム値測定を行っています。
こうしたことから、慢性的な高カリウム血症の診断のためには血清カリウム値を少なくとも年に2回の測定すること、またCKD患者ではRAAS阻害薬の投与前、投与後、増量後に測定することが望ましいとする報告もあります。
引用文献
- 6)De Nicola L, et al. Chronic hyperkalemia in non-dialysis CKD: controversial issues in nephrology practice. J Nephrol. 2018; 31: 653-664.