高カリウム血症の治療 治療法

監修:大阪大学大学院医学系研究科
腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

治療は、致死性の不整脈
などが認められる重度の
高カリウム血症に対する緊急治療と、
慢性期の高カリウム血症に対する
治療に分けられます。

緊急治療 2)

致死性の不整脈などを生じる可能性が高い重度の高カリウム血症(血清カリウム値6.0mEq/L超、または血清カリウム値が急激に1.0mEq/L上
昇し、4.5mEq/Lを超える場合)では、緊急治療が必要とされます。
緊急治療では、まず心筋の異常興奮を抑えるためにカルシウム製剤が静注されます。その後、迅速かつ効果的なカリウムの細胞内取り込みを促す
目的で、GI療法(インスリンとブドウ糖の静注)、β2刺激薬の吸入・静注、重炭酸水素ナトリウムの静注(代謝性アシドーシスを伴う場合)、
利尿薬
の静注、カリウム吸着薬の注腸投与などが考慮されます。場合によっては緊急血液透析が行われることもあります。

慢性的な高カリウム血症の治療(非緊急時の治療)

血清カリウム値を上昇させる因子(薬剤の曝露、カリウムの過量摂取、代謝性アシドーシスなど)に対する対策と、薬剤により体内のカリウムを排出
させる治療があります。

カリウム値上昇の原因薬剤の減量・中止

β2遮断薬、NSAIDs、RAAS阻害薬の使用により、カリウム排泄に関与するNa-Kポンプ、Kチャネル、Naチャネルの活性が低下し、
高カリウム血症のリスクが高くなるとされています3〜5)。「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」CKDガイド2018においても
CKD患者での
ACE阻害薬とARBの併用は高カリウム血症のリスクが上昇することに触れ、CKDステージG4、5ではACE阻害薬、
ARBによる高カリウム血症が出現した際には、速やかな減量・中止を推奨しています1)
しかし、その一方で、RAAS阻害薬の減量や中止によって、RAAS阻害薬の持つ治療効果や腎保護効果というベネフィットが得られないことが懸
念されており、カリウムをコントロールしてRAAS阻害薬の減量や中止を最小限に抑えるべきとの指摘もなされています3〜5)

食事療法

食事中のカリウム制限を行います。高カリウム血症が多く認められるCKD患者では、ナトリウム、リン、たんぱく質についても制限されていることが多く、これにカリウム制限が加わることで低栄養のリスクが懸念されます。
良好な栄養状態を維持するためにも、正しい食事カウンセリングが重要とされており、主にカリウム含有量の高い食品の把握と、調理の工夫について指導が行われます4)。調理では食品を茹でる、水にさらすといったことが中心になりますが、
茹でることで最大60~80%のカリウムが除去できるとされています4)
CKD患者では、CKDステージG3aまではカリウム制限を行わず、G3bで2,000mg/日以下、G4~G5では1,500mg/日以下がカリウム制限の
目標値とされています6)

食材別カリウム辞典 日頃の食事で使う「食材」のカリウム値を知って摂取量の目安にお役立てください。

薬物療法

治療薬としては主に、利尿薬やカリウム吸着薬、炭酸水素ナトリウムなどが使用されます。

引用文献

1)日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018. 東京医学社, 東京, 2018.

2)Montford JR, et al. How Dangerous Is Hyperkalemia? J Am Soc Nephrol. 2017; 28: 3155-3165.

3)Hunter RW, et al. Hyperkalemia: pathophysiology, risk factors and consequences. Nephrol Dial Transplant. 2019; 34(Suppl 3): iii2-iii11.

4)De Nicola L, et al. Chronic hyperkalemia in non-dialysis CKD: controversial issues in nephrology practice. J Nephrol. 2018; 31: 653-664.

5)Kovesdy CP. Updates in hyperkalemia: Outcomes and therapeutic strategies. Rev Endocr Metab Disord. 2017; 18: 41-47.

6)日本腎臓学会 編. 慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版. 日腎会誌. 2014; 56: 553-399.