高カリウム血症 疫学

監修:大阪大学大学院医学系研究科
腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

高カリウム血症の疫学

有病率

1,022,087人を対象とした国内診療データベースを用いた後ろ向き観察研究では8)、2016年における高カリウム血症(≧5.1mmol/L)の有病率は対象全体で67.9人/1,000人でした。一方、高カリウム血症のリスクが高いとされる慢性腎臓病(CKD)、糖尿病、心不全、RAAS阻害薬服用の患者では、それぞれ227.9人、108.4人、134.0人、142.2人でした(すべて1,000人あたり)(図1)。

図1:国内における高カリウム血症有病率8)

死亡との関連

血清カリウム値の上昇が死亡率を増加させるという報告は数多く存在しています。
前述の国内観察研究おいて検討された3年死亡率は、血清カリウム値4.0mEq/L付近で最も低く、血清カリウム値が高くなるにつれ上昇することが示されました(図2)8)
またCKD患者では、ステージにかかわらず、血清カリウム値の上昇が3年死亡リスクの上昇と関連することも示されています(図3)8)

図2:血清カリウム値でみた3年間の院内死亡発生率8)

引用文献

  1. 8)Kashihara N, et al. Hyperkalemia in Real-World Patients Under Continuous Medical Care in Japan. Kidney Int Rep. 2019; 4: 1248-1260.
  2. 本試験はアストラゼネカの支援のもと実施された。著者にアストラゼネカより謝礼を受領している者が含まれ、アストラゼネカの社員2名が含まれている。